FC2ブログ

09 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

D.I.D

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/-- --. --:-- | trackback: -- | comment: -- | edit

ベヒモスのあれそれ 

皆さまご無沙汰しております。無事コミケもおわりましたが今回はM.A.F.さんによるエリア51に登場したベヒモスの深ーーーーい考察をお届けしたいと思います!!ではでは早速どうぞ~(^^)/




 D.I.D.をご覧の皆様、はじめまして。ベルリン標本から再生され読み書きネットを仕込まれた始祖鳥、M.A.F.(まふ)です。普段は古生物を飼育する小説を書く活動をしています。


 古生物といえば久先生の作品には古生物そのものや古生物をモチーフとしたキャラクターが多数登場します。恐竜を主役とした「ジャバウォッキー」はもちろんのこと、「グレイトフルデッド」で大トリを務めたのも恐竜でしたし、「ノブナガン」の進化侵略体は地球上の生物の進化をなぞった存在でした。

 そして一見古生物とは関係のなさそうな「エリア51」でも、古生物を元にデザインされた超常の存在がちらほらと登場します。そしてそのうちのいくつかは、超常の存在がひしめく街であるエリア51で飼育する・される関係にあります。普段僕が書いている古生物飼育小説と同じです。

 そこで今回は、そうした古生物がモチーフのキャラクターの中から、エリア51の5巻に登場した「ベヒモス」を取り上げ、ベヒモスの飼育について考えてみたいと思います。
 

自分の首をなくして困っていたデュラハン氏は、マッコイの助けによりその首がベヒモスの餌であるキャベツを満載にした荷船に紛れ込んでいることを突き止めました。
 このベヒモスはガネーシャの経営する神象印乳業の工場で飼育され、チーズの原料となるミルクを取られていました。それでベヒモスは工場の壁に開いた門から顔を出し、そこから船に積まれたキャベツを平らげていました。
 ここでのベヒモスの登場はちょっと不思議な印象を与えるものでした。
 あんな大きな幻獣の食べ物が普通のキャベツってなんだかちょっと意外です。なぜキャベツなのでしょう?
 それに、あんな大きな動物を街中の工場で飼っていて、運動不足にならないでしょうか?
 そもそもベヒモスのミルクから作ったベヒーチーズってどんなのなんでしょうか?
 今回は「キャベツを食べる」「川沿いの工場にいる」「ミルクを出す」というベヒモスについて描写された点について、僕なりの解釈をお話しいたします。

・ベヒモスはどんな動物か
 まずは考察の前に、ベヒモスがどんな動物として描かれているか確認しましょう。
 ベヒモスの姿が現れた瞬間、僕は「おおっ、プラティベロドンがモチーフか」と意表を突かれました。
 プラティベロドンとは、今から1500万~400万年前(恐竜が絶滅して5000万年後~人類が現れ始めるまで)に生息していた、ゾウに近縁な動物です。その姿はエリア51に登場したベヒモスほぼそのままです。

プラティベロドン頭骨


 ただし実際のプラティベロドンはベヒモスと違い、背中までの高さが人間の背丈と同程度の、今のゾウと比べれば小柄な動物でした(充分大きいですよね)。
 プラティベロドンの特徴は、ゾウのような鼻だけでなく下顎も長く伸びていたことです。下顎の先端は平たく、それを延長するように平たい牙が生えています。
 長い鼻、大きな口、そして牙。ゾウとカバの両方に似ているというベヒモスの特徴にぴったりです。久先生がプラティベロドンをベヒモスのモチーフに選んだのも納得です。
 そこでここでは、ベヒモスは基本的に巨大化したプラティベロドンであるということにして考察を進めていきましょう。


・ベヒモスに餌をあげよう
 プラティベロドンはゾウの仲間です。ゾウ自体は動物園で飼育されていますから、餌として何を与えればいいかノウハウが蓄積されています。
 皆さんも動物園でゾウが餌を食べている姿をご覧になったことがあるのではないでしょうか。動物園でゾウが主に食べているのは干し草や青草、つまり牧草です。
 それではベヒモスこと巨大プラティベロドンにも牧草を与えればいいのでしょうか。ここで問題が生じます。
 それは、牧草を含むイネ科の植物には鉱物の微粒子が含まれており、イネ科の植物を主食とする草食獣にはその対策が必要だということです。
 イネ科の植物が含む微粒子をプラントオパールといいます。これは動物に食べられまいとして発達させたものといわれています。踏めばふんわりと柔らかい芝でも意外と紙ヤスリのように硬いものなのです。
 元々植物の細胞は堅い細胞壁をまとっているため、消化するにはきちんとすり潰さないといけないのですが、イネ科の植物を奥歯で噛みしめようとするとプラントオパールのせいで奥歯がすり減ってしまいます。
 そのため、イネ科の植物を主食とする動物は、すぐにはすり減らないほど分厚い奥歯を発達させています。
 現在のゾウもその一つで、上下左右の顎に一つずつ、巨大な石臼のような奥歯を備えています。

アジアゾウ歯



 しかしゾウの仲間の歴史を振り返ると、そのような奥歯を発達させているのはゾウ科およびステゴドン科に属する、比較的後のほうに現れたゾウだけなのです。これはイネ科の植物が生い茂る草原がそれだけ新しいものだからです。
 プラティベロドンの奥歯はどうでしょうか。プラティベロドンの属するゴンフォテリウム科のゾウもそれなりに大きな奥歯を持ってはいるのですが、並べた串団子のような、多くの丸い突起が並んだ形をしています。イネ科の植物と違ってプラントオパールを含まない植物を噛みしめるのに適応した形です。プラティベロドンは水草や木の葉、樹皮を食べていたといわれています。

プラティベロドン歯


 よってベヒモスの場合も、もし牧草を主食に与えていたら奥歯がすぐにすり減ってしまうでしょう。奥歯の寿命はゾウの寿命ともいわれています。ベヒモスに長生きさせるには牧草を与えるべきではありません。
 
牧草より柔らかい植物で、なおかつベヒモスの巨体を支える量が確保できるものとなれば、大量生産に適した野菜でしょう。
 キャベツはベヒモスの主食にぴったりの餌だったのです。流石は久先生、ベヒモスに最適の食事を描写していたのです。

 さて餌の考察の最初で動物園のゾウを引き合いに出しましたが、動物園のゾウは主食の牧草だけでなく野菜や果物など様々な植物を食べて栄養のバランスを取っています。
 ベヒモスにはミルクを出すという大事な役目もありますから、キャベツだけではなく他にも栄養価の高いものを与えられているのかもしれません。根菜、果物、豆やマメ科植物そのもの(アルファルファなど)が良さそうです。

・ベヒモスに運動させよう
 アメリカのオレゴン動物園では、ゾウの運動場を6000平米から24000平米に拡大しました。元の6000平米でも日本の動物園では適わない広さですが、動物園のゾウにはもっと運動が必要だという考えで行われた改修だとのことです。
 エリア51のベヒモスは展示動物ではなく家畜ですからエンリッチメント(動物により良い暮らしをさせること)が阻害されていても致し方がない面はありますが、健康を保つためにはある程度運動させたほうが良さそうなものです。
 しかしベヒモスは工場に閉じこめられているように見えます。ベヒモスの前には運河しかありません。このベヒモスにとってつらそうな環境も、ベヒモスが登場したときインパクトを与えたのでした。
 ベヒモスはこれで健康に暮らせるのでしょうか。
 実は、それが健康に暮らせるかもしれないのです。そのポイントは、餌を運び込んできたのと同じ、目の前の運河にあります。
 この運河を泳がせればいいのです。
 ゾウは元々水浴びを好む動物です。最近は動物園でゾウの運動場を改修する際、ゾウが全身浸かることのできるプールを作ることが多くあります。

京都市動物園


 富士サファリパークでは水槽で泳ぐゾウを見ることもできます。

富士サファリパーク

 ゾウの鼻自体が、水に潜る間息をしやすいことと関係があるという説もあります。プラティベロドンも水を好む動物だったでしょう。
 また、今ベヒモスは巨大化したプラティベロドンであるとして考察しています。普通のゾウでさえ飼育する際は脚にかかる負担を考えて扱わないといけませんから、巨大化したベヒモスとなればそうそう負担のかかることはさせられないでしょう。
 水泳ならば浮力によって体が支えられるため、ベヒモスは脚に負担をかけずに運動することができます。実際、脚を骨折したゾウのリハビリとして水泳が行われています。
 デュラハンの首を探すためにマッコイが広げた地図を見ると、ベヒモスのいる工場は川沿いにあり、川から引き込んだ運河が工場を取り囲んでいます。
 運動が必要なときはベヒモスの前にある鉄格子を開いてベヒモスを運河に下ろし、工場の周りを一周するように泳がせるのでしょう。
 窮屈そうな工場でしたが意外にもベヒモスにとって健康に暮らせるかもしれない環境であるということが分かりました。
 ここでベヒモスにはミルクを出すという役目があることを再び考えると、そのためにはカロリーの消費を抑えたほうがいいのかもしれません。水泳はほどほどに済ますのでしょう。

・ベヒモスからミルクを絞ろう
 神象印乳業でベヒモスが飼われているのはチーズの原料であるミルクを取るためです。この点について考えてみましょう。
 旧約聖書に登場するベヒモスは雄であり雌のレヴィアタンと対をなすものであるとされています。もしこのベヒモスと同じベヒモスなら雄であり、ミルクは出ないはずです。
 しかし逆に考えればミルクを出すということは繁殖するということであり、この世にたった一頭の存在ではなく雌雄が存在するということです。旧約聖書に出てくるベヒモスとエリア51のベヒモスは別個体なのでしょう。
 アジアゾウは家畜としても飼育されていますが、その役目は荷役と観光です。ミルクや肉は利用されていません。おそらくゾウがそれほど早く繁殖・成長する動物ではなく、親子の結び付きも強いためでしょう。
 また哺乳類は妊娠・出産しなければミルクを出さないはずです。ベヒモスの産んだ子供はどこにいるのでしょうか。手狭そうな工場で子供を産ませ続ける余裕があるでしょうか。
 この乳業会社を経営しているのが富の神であるガネーシャだということを思い出すと、ベヒモスはガネーシャに「ミルクを出す」という「富」を与えられているのかもしれません。もしくは、ベヒモスが産んだ子供のベヒモスを引き取っている何者かがいるということでしょう。
 調べてみたところゾウのミルクは牛乳の10倍も栄養が濃く、人間が飲んでもうまく消化できないとのことでした。
 それだけの栄養価があるからこそゾウの子供が大きく成長できるのだとしたら、ゾウより大きいベヒモスのミルクはもっと濃いのかもしれません。
 ベヒモスのミルクは直接飲むのではなくチーズにするくらいでちょうどいいのでしょう。きっとそのチーズもよほど濃厚な味がするに違いないのですが、エリア51の人外達に人気の秘訣はその濃厚な味にあるのかも……?



 いかがだったでしょうか。実際にベヒモスが登場したシーンはごくわずかでしたが、そのわずかな中にこれだけ考えさせてくれるヒントが含まれていたのです。
 今回は僕の分かる分野である動物飼育と古生物についての考察でしたが、久先生の作品は知らない分野が元ネタになっていてもきっと色々な知識や考えから成り立っているのだと思わせてくれる奥の深いものです。
 今回の記事が久先生の作品への興味と動物や古生物への興味を喚起するものになれば嬉しいと思います。また、皆さんもご自分の得意分野から久先生の作品の世界に切り込んでみてはいかがでしょうか。そういったものを僕も読んでみたいです。



M.A.F.さんありがとうございました!!
スポンサーサイト
2015/12/06 Sun. 22:33 | trackback: -- | comment: 0edit

コメント

コメントの投稿
Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。